奇跡への決心

4月24日午後5時 面会 
酸素室:酸素濃度38±2% 酸素流量:2.5ℓ 室内温度:25℃ 湿度:60%
しんどそうに横たわり声掛けにも余り反応も少ない…目も三白眼になりながら混沌とする。
息づかいが相変わらず調子の悪い表現としては不適切だが細かくリズミカルに二拍子くらいの速さで刻む、目は開くとチアノーゼ(黄疸)が少し有り。
短い期間にいろいろ調べて呼吸の心拍数から胸水がたまってきているかが判断できるというのを知り、自然に面会時に確認することを覚えてしまった…
確かに状態が良い時は息づかいがゆっくりなテンポですが、急性期にはグンと速く変わってしまいます。午前中の一旦帰宅の際のショックからまだ抜けきらないtantanさんはまたしんどい坂を登っているように見えました。
それでも7時過ぎに私が帰ろうとする頃には少しだけアクリルガラスに近寄ってきたり出来るほどになり、私の言葉をちゃんと理解できるので「頑張れtanちゃん!」と声を掛けると手前に置いたフードを食べないといけないと健気に目を移しクンクンと匂う仕草をみせてきました。
帰る間際に「楽になったら食べて下さいよ、tantanさん…お水も飲んで元気になろナ!」
というと両目ウィンクと尻尾で『了解!』とお返事までしっかりします。
そしていつものフード10gを小袋で看護師さんに預けて
「夜中の間に食べると思います。多分水も飲みほすと思うので最後に新しいものに換えて大目に入れてやっておいて下さい。」
と伝えて出てきたところで4年前に先代アメショのzizi君の闘病期にお知り合いになったパグのプリンちゃんとお母さんにバッタリ出会いました。
彼女はzizi君の最後もご存知ならば、新たにtantanさんを迎えて最初にワクチンに連れて行った時も偶然病院で再会しており、いわば彼の成長すら見ている方なので会うなり涙が溢れてしまいました。
私が入院施設から出てきたのを見て彼女もただ事でないと感じたようで瞬時に連鎖して涙ぐませてしまって…
ひとしきり事情を話した後、椎間板を痛めて排尿が出来なくなって早や4年間も毎夕尿を抜きに来て頑張っているプリンちゃんと共に励まされて帰宅しました。

4月25日午前9時 面会
うまくいけば夜の間にtantanさんはご飯を食べ切り、お水も飲んで体調を取り戻しているはず…そう願いながら待合室へ。
看護士さんが「すごい復活ですよ!今までで一番元気かも♪」と声を掛けて下さり安堵しながら見に行こうとする前に昨日出張されてた主治医の副院長Dr.より心臓専門医とのカンファレンス結果を伺う。
昨夜から早速心臓専門医からの処方指示の投薬が始まり、安定した夜中にはDr.の顔を見ると人恋しいせいか喜ぶほどに体調も楽になっていたらしい。
今朝はシリンジを使ってゆっくりと利尿剤とビタミンCを皮下注入
私の顔を見るなりスッと立ってアクリルガラスギリギリまで来て三角のお口をしながら大きな甘えた声で「ごはんーっ!」と催促。
預けたフードは、夕方そのまま置かれていたものも含めて夜中に全部(合計20g)食べきったとのこと…偉いぞ、tantanさん!
お水も朝までに2回継ぎ足したらしく、病院からの別のフードを3,4粒Dr.の手渡しでも食いついたらしい。
直ぐに持参したフード10gを与えると目の前で一心不乱に頭を突っ込みガツガツガツガツ…
Dr.「いつもこんな食べっぷりですか?」
ジジ「ハイ、脇目も振らずちゃんとフードを噛み砕いてしっかり食べます!」
Dr.「夜中も実はこんな感じだったのでちょっと驚いてしまって…(苦笑)」
今のこの体調が安定さえすれば問題ないらしいのですが、やはり昨日の診断結果の2種類の心筋症の合併ということはどうやら曲げることの出来ない事実で、例えば今回これが一過性に落ち着いたとしても今後も同様の症状を再発させる確立はかなり高く、その度に発作程度で済まない危険性を伴うことは免れないということでした。
今日の午前中のtantanさんは投薬による顔の浮腫みもなく、目もいつものようにキレイにパッチリ開き、窓から手を入れるとスリスリが過度になり窓から枠いっぱいギリギリの顔を出して鼻チューをしてくるほど。
明日は日曜日なので本当であれば今日には退院した方が望ましいのすが、昨日の今日でいくら体調が良くなったとはいえなかなか私の方も自宅でのケアに心の準備もなければ不安もあることを正直に話しました。
tantanさんが病院の現在の酸素室環境とDr.はじめ献身的なスタッフの皆さんにもかなり順応し始めて入院ストレスという点ではそう懸念が無さそうということで月曜まではそのままやはり管理の行き届いた状態で体力強化を図ることに。
週明け以降、間近にGW休暇も迫っているので在宅療養に向けてのプランニングをすることとしました。
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                                       【3月31日撮影より】
親バカですがTantanさんは凄いです…ちゃんと頑張れます。病魔と闘う根性も持っています。
皆さんの励ましや応援や祈りが、ちゃんと彼には届いているのです。
その姿に逆に私が励まされています。だからtantanさんの前では泣いてません、泣けません。
彼には努めてポジティブにいつものように話しかけています。それが今の精一杯…
でもこれからは違います、前例のないことならば前例を作ればいい…
奇跡といわれるならばその奇跡に挑戦しようと思います、出来る限りのあらゆる術で。

こちらを訪れていただいている皆さんのお言葉にいつも励まされています。
本当に感謝しています。有難うございます。
今は一喜一憂するような重苦しいご報告しか出来ませんが、青い空を見るために目の前の濃霧と氾濫する水は手で掻き分けながら進もうと思います。